○防火管理業務指導基準に関する規程

昭和50年7月7日

訓令甲第23号

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第8条に定める防火管理業務の自主的かつ効果的な推進を図るため、その指導基準及び消防計画の指導要領並びに事務処理等について必要な事項を定めるものとする。

(用語の意義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。

(1) 防火管理業務 予防管理、自衛消防活動及び教育訓練等の業務をいう。

(2) 消防計画 防火管理者が消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号。以下「省令」という。)第3条に掲げる事項について定める計画で、防火管理業務を計画化したものをいう。

(3) 自衛消防隊 消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「政令」という。)第1条に該当する防火対象物で従業員50名以上を有するものが編成する自衛消防の組織をいう。

(4) 消防隊 法第2条第8項に掲げるもののうち、消防吏員の1隊をいう。

(防火対象物実態のは握)

第3条 署長は、管轄区域内の政令第1条該当対象物の実態について、常に防火管理業務の指導及び立入検査等を通じそのは握に努めなければならない。

(防火管理業務の指導の原則)

第4条 署長は、防火管理業務及び消防計画の指導にあたっては、管轄区域内の消防情勢、防火対象物の業態及び構造等その実態に応じて具体的に行わなければならない。

(防火管理体制の確立)

第5条 署長は、法第8条第1項で定める管理について権原を有する者(以下「管理権原者」という。)に対し、防火対象物の構造、規模、収容人員及び危険物施設等を勘案し、昼間、夜間等の別に応じ、十分な防火管理体制を確立するよう指導しなければならない。

2 署長は、管理権原者に対し、防火管理者が長期にわたり事故のある場合は、その職務を代行する責任者をあらかじめ指名しておくよう指導しなければならない。

(防火管理者の諮問的機関の設置)

第6条 署長は、管理権原者に対し、防火管理業務の効果的、円滑な推進を図るため必要と認める場合は、防火管理者の諮問、調整、その他補助的な機関を設けるよう指導するものとする。

(消防機関との連絡)

第7条 署長は、防火管理者と常に密接な連携を保ち、必要と認める場合は、消防職員を派遣する等その指導に努めなければならない。

2 署長は、防火管理者研修会等により防火管理者の管理能力及び技術の向上を図るものとする。

第2章 消防計画

第1節 通則

(地域防災計画への活用)

第8条 署長は、消防計画が地域防災計画の基礎資料となることに留意し、その活用に努めなければならない。

(部外者に対する措置)

第9条 署長は、防火管理の万全を期するため、管理権原者に対し関係法令に定めあるもののほか、防火管理上必要な事項について当該防火対象物に出入するすべての者を規制するよう指導しなければならない。

第2節 消防計画の指導要領

第1款 消防計画の作成基準

(消防計画の区分)

第10条 署長は、消防計画を次のとおり区分して作成するよう事前に防火管理者に指導しなければならない。

(1) 予防計画

(2) 防ぎょ計画

(3) 教育訓練計画

(4) 地震等の非常時災害に対する計画

(5) 消防計画に添付する資料

第2款 防ぎょ計画

第11条 予防計画の指導事項は、次のとおりとする。

(1) 予防管理組織の編成に関する事項

(2) 自主検査に関する事項

(3) 消防用設備等の点検及び整備に関する事項

(4) 人命安全に関する事項

(5) その他火災予防に関する事項

(防ぎょ計画の指導事項)

第12条 防ぎょ計画の指導事項は、次のとおりとする。

(1) 自衛消防隊の編成に関する事項

(2) 通報連絡に関する事項

(3) 消火活動に関する事項

(4) 避難誘導に関する事項

(5) 危険物施設等の防護措置に関する事項

(6) 重要物件等の搬出に関する事項

(7) 救護に関する事項

(8) 放射線測定検出等に関する事項

(9) その他防ぎょ行動に必要な事項

(自衛消防隊等の編成及び任務分担)

第13条 自衛消防隊の編成及びその任務分担は、おおむね別表第1の要領により定めるよう指導するものとする。

2 自衛消防隊長は、防火管理者又はその上位者をもって充てるものとする。

3 班には、班長を置き、所定の任務遂行の指揮に当たらせるものとする。

(自衛消防活動の範囲)

第14条 当該防火対象物及びその関係施設等において火災が発生した場合は、消防隊の到着するまでの間、自衛消防活動に従事し、火災等の災害による被害の局限防止に努めるとともに消防隊の到着に際しては、人命救助の要否等火災の状況を説明し、消防隊の誘導連絡の任に当たらせるよう事前に指導しておくものとする。

(消火活動に関する指導事項)

第15条 消火活動については、防火対象物の業態、規模等を考慮して自衛消防隊員の警戒配置消火活動、その他有効な自衛消防活動をなし得るよう指導しなければならない。

2 防火対象物の最も出火危険のある箇所、消火困難な箇所及び隣接防火対象物から出火した場合延焼危険の大きい箇所を、指摘しなければならない。

3 消火活動計画区は、別表第2の消火活動計画図記載記号例により作成するよう指導するものとする。

(通報連絡に関する事項)

第16条 消防署に対する通報及び構内に対する通報連絡に関し計画をたてるよう指導しなければならない。

2 前項の構内に対する通報連絡については、非常ベル、サイレン、拡声器等によるものとし、信号例、用語例をあらかじめ定めておくよう指導しなければならない。

(避難誘導に関する事項)

第17条 防火対象物の業態、構造、敷地並びに避難設備の設置状況等を考慮し、安全に避難者を誘導する経路及び誘導先等について計画をたてるよう指導するものとする。

2 前項に定める防火対象物のうち必要と認める場合は、避難誘導計画図を作成させ、経路誘導先等について記入するよう指導するものとする。

3 人命検索については、人命危険の大きい箇所を検討する等検索順序、検索要領及び要救助者を発見した場合の救助要領等について計画をたてるよう指導するものとする。

(危険物施設等の防護措置に関する事項)

第18条 放射性物質、火薬類、高圧ガス、毒物及び劇物の類、危険物、準危険物及び特殊可燃物等を貯蔵又は取り扱っている防火対象物にあっては、火災時の危険防止のため、これらの安全措置、延焼防止及び消防活動を容易にするための工作、破壊等の措置について計画をたてるよう指導するものとする。

第3款 教育訓練計画

(教育訓練計画の指導事項)

第19条 教育訓練計画の指導事項は、次のとおりとする。

(1) 従業員に対する予防管理、自衛消防活動の教育に関する事項

(2) 新任者に対する教育

(3) 自衛消防訓練に関する事項

(教育訓練計画事項の内容)

第20条 前条各号に定める計画の内容は、別表第3のとおりとする。

第4款 地震等の非常時災害に対する計画

(地震等の非常時災害に対する計画の指導事項)

第21条 地震等非常時災害の計画の指導事項は、次のとおりとする。

(1) 地震時の措置に関する事項

(2) 水災時の措置に関する事項

(3) その他の災害時の措置に関する事項

(地震時等の措置)

第22条 署長は、地震等に際し、火気点検、避難、事後措置等についてその対策を講ずるように指導しなければならない。

2 台風等による水災等のおそれが生じた場合、情報に注意するとともに消防用設備等の点検、整備、水防措置及び避難等の措置を講ずるよう指導しなければならない。

第3章 防火管理業務

(消防計画に基づく防火管理業務の指導)

第23条 署長は、防火管理者に対し、防火管理業務の遂行に当たり消防計画に基づきこれを実施するとともに、従業員その他当該防火対象物に出入する者の防火管理上の遵守事項等について監督し、常に防火管理状況の向上改善に努めるよう指導しなければならない。

(防火管理年間・月間予定表の作成)

第24条 署長は、防火管理者に対し、防火管理に関する年間及び月間の予定表を別表第4により作成し、従業員に周知徹底させるよう指導しなければならない。

(自主検査の結果の報告及び記録)

第25条 署長は、防火管理者に対し、第13条の規定による検査員が第14条に基づく自主検査を実施した場合は、そのつど異常の有無及び改善措置を、検査票(第1号様式)、消防用設備等検査票(第2号様式)、消防用設備等維持台帳(第3号様式)に記載し、防火管理者に報告するよう指導するものとする。

(消防職員の派遣)

第26条 消防長は、必要と認める場合又は署長からの要請のあった場合は、防火管理業務指導のため、消防職員を派遣する。

2 前項により派遣された職員は、「その結果を消防長に報告するとともに必要により署長にその状況を通報しなければならない。

(自衛消防訓練要領)

第27条 自衛消防訓練は、別表第5の訓練要領により実施するよう指導しなければならない。

(通報訓練)

第28条 通報訓練は、迅速、確実かつ具体的に通知できるよう指導するものとする。

(消火訓練)

第29条 消火訓練は、初期消火、延焼防止を主眼として、消火設備の取扱いの習熟、防火戸の閉鎖等、消防隊の到着時の連絡誘導等に留意のうえ、訓練するよう指導するものとする。

(避難誘導訓練)

第30条 避難誘導訓練は、危険防止、群集化防止、人員点検の励行等に留意して訓練するよう指導するものとする。

(地震等非常時災害に対する指導)

第31条 地震、水災、烈風時等の災害に処するため、自衛消防隊を活用して被害を最少限度にとどめるよう指導するものとする。

この規程は、公布の日から施行する。

(令和5年訓令甲第1号)

(施行期日)

1 この訓令は、令和5年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この訓令の施行の際、この訓令による改正前のそれぞれの訓令に定める様式による用紙で現に残存するものは、所要の修正を加え、なお使用することができる。

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別表第2(第15条関係)

消火活動計画図記載記号例

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(注) 凡例の記号の色別は、消防図式記号を準用して指導すること。

別表第3(第20条関係)

計画事項

計画内容

従業員等に対する教育

1 防火管理機構の周知の徹底

2 防火管理上の遵守事項

3 防火管理に関する従業員各自の任務及び責任の周知徹底

4 その他防火管理業務遂行上必要な事項

新任者に対する教育

1 防火管理機構の周知徹底

2 防火管理上の遵守事項

3 防火管理に関する従業員各自の任務及び責任の周知徹底

4 安全な作業等に関する基本的事項

5 消防計画の周知徹底

6 その他防火管理業務遂行上必要な事項

自衛消防訓練

1 通報訓練

2 消火訓練

3 避難誘導訓練

4 防護訓練

5 放射線防護訓練

6 その他の訓練

自衛消防訓練の種別

1 総合訓練

自衛消防訓練計画のすべての事項につき実施する総合的な訓練をいう。

2 部分訓練

自衛消防訓練計画の1又は2の計画事項について実施する部分的な訓練をいう。

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別表第5(第27条関係)

自衛消防訓練要領

訓練の原則

1 部分訓練から順次総合訓練に移行すること

2 部分訓練にあっては、各訓練種別の基礎的事項の習熟を図ること

3 総合訓練にあっては、部分訓練の総合的にして、かつ有機的な連けいを図ること

4 危険防止に留意すること

5 士気の高揚を図ること

6 技術の向上を図ること

事前の点検

1 消火設備の点検

2 避難設備の点検

3 警報設備の点検

4 その他の訓練に使用する器具、設備等の点検

訓練方法

1 火災の想定を与えること

2 気象状況の想定を与えること

想定火点の条件

1 出火危険大なる箇所

2 人命危険なる箇所

想定火点の条件

1 発煙箇

2 旗

(1) 赤旗

(2) 黄旗

(3) 旗の移動

(4) 旗の撤去

講評並びに基礎資料の活用

1 訓練結果の講評―防介管理者

2 初動態勢確立の資料しゅう集

3 消防計画の改善、設備の改善、訓練の合理化等の基礎資料のしゅう集

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防火管理業務指導基準に関する規程

昭和50年7月7日 訓令甲第23号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第8編 防/第5章
沿革情報
昭和50年7月7日 訓令甲第23号
令和5年3月6日 訓令甲第1号